科研費による謝金やアルバイト代と所得税の支払いなど。

科研費は研究者の所属機関に支払われる補助金ではなく、研究そのものに支払われる補助金です。
研究者に直接支払われると研究者の収入と見なされて所得税の対象になってしまうため、
「研究そのものに支払う」というのが文科省のスタンスでした。

これによって事務方として少々困ったのが資金の扱い方です。
法人の口座に振り込んでもらえれば支払い処理を経理にまとめてやってもらえるのに、
「そんな面倒なことはやらん!」と突っぱねられたのです。

学校によっては科研費の担当そのものを経理部がやっているところもあるようでしたが、
我々のところでは研究費を扱う部門があったがために、「そっちでやってよ」って扱いでした。
なので基本的に科研費の専用口座をわざわざ作って資金を明確に分けておりました。
(これは文科省も補助金の色が特別なのでそうするように義務づけておりましたが。)

しかし、物品を購入したりする場合、科研費専用の口座から振り出しをすればすむ話ですが、
困ったのは謝礼やアルバイト代をお支払いするときです。
これをかつて科研費では総称として「謝金」と言っておりました。
(税務上の言葉としては、謝金=源泉20%という決まりがあり非常にややこしかった。)
その謝金を誰がどのように支払うか。結局、私のいた法人では当時「みなし法人」という扱いを取りました。






みなし法人とは?



みなし法人について、弁護士ドットコムさんのサイトより抜粋すると、

みなし法人とは
法人として登記はされていない(未登記)の団体で、
(1)共同の目的のために結集した人的結合体であって
(2)団体としての組織を備え
(3)そこには多数決の原理が行われ
(4)構成員の変更にもかかわらず、団体としてのものが存続し
(5)その組織によって、代表の方法、組合の運営、財産の管理その他団体として主要な点が確定しているもの。


このような形になっています。


研究課程で調査に対する謝礼を支払ったり、アルバイト代を払うことが出てきます。
そのときに所得税の対象(現在は復興特別所得税も)になってくるのですが、
学校法人の運営とは資金の色が別なので、みなし法人として、納税する形をとりました。


学校法人は源泉徴収義務者に該当します。
科研費は文科省的には「学校に払う物じゃない」といいますが、財務省としては、「法人が事務取扱をする以上、
納税まできちんと法人でやってもらわねば困る。」ということになります。

法人によっては法人として源泉徴収をしているところもあるかもしれませんが、
私の勤めていたところでは、弁護士、所轄の税務署などと相談し、みなし法人として納税していました。
(この辺りは所属の研究機関のやり方に従ってください。)


現金で謝金を払うときの流れの例



科研費で謝金の支払いの必要が出てきた場合、原則として、支払い時に源泉徴収します。
作業従事者には源泉後の金額を支払い、領収書にサインをいただきます。

源泉徴収税額は税務署が指定する通りの税額です。

領収書(例)

例えば、科研費のためになんらかの原稿執筆や講演を依頼し、100万円以下の謝礼を支払う場合、
10.21%の源泉徴収が義務づけられています。
(100万円以上の支払いの場合税率が変わってきますが、科研費でそのような支払いは滅多にないでしょう。)

相手に手取りで2万円支払う場合、領収書の額面は22,274円となります。

謝礼を支払う相手には20,000円をわたし、差額の2,274円は謝礼金を支払った月の翌月の10日までに納税します。

そして、科研費の研究費の帳簿上から22,274円を差し引けば、帳簿処理は完了です。

領収書 記入済み

また、領収書は証拠書類として事業者側に残りますが、謝礼金をもらった方には「支払調書」を作成してお渡しします。

支払調書は収入を得た証明になりますので、こちらで確定申告をしていただくことになるわけです。


源泉徴収税率は、謝礼の色(何の目的で払うか)や給与所得額などで異なります。
法律に従って正しい処理をしてください。

国税庁>平成27年度 源泉所得税額表


ここ十数年で事務処理は所属法人側が行うことが義務づけられておりますので、
事務方が充分理解して手続きをしてくださっていると思いますが、
科研費を手伝ってくれる方からは「源泉徴収票をくれ」とか「支払調書をくれ」とか言われると思うので、
参考までに基礎的なことを押さえておくとよろしいかと思います。

専門家等に一時的に協力を依頼した場合は、研究者が現金で謝礼をお支払いすることが多いため
例としてあげてみました。


ちなみに他の税金、例えば消費税なんかは、事業者側が納付するものですので関係ありませんし、
住民税も前年の収入から換算するもの物なので、考える必要はありません。

所得税は、源泉徴収をしないと所得を得た側が納税をばっくれる可能性がおおいにあるので
事前に徴収が義務づけられています。謝礼や給与が発生した時点で関係してくるのです。

来年以降は科研費による人件費の支払いもマイナンバーの登録が義務づけられてくると思われますので、
法律の改正には充分気を配る必要がありそうですね。

【科研費の使い方・考え方の最新記事】
posted by もとじむ at 2016年02月16日 last update | 科研費の使い方・考え方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする