図表やイラストはカラフルに仕上げる方がよい?

タイトルはこれまたとある大学(他大学)の先生とお話ししていた時に言われたことです。

「外部資金の獲得など、研究活動の支援をする部門で働いていたんですよ。」と共通の話題を探しながら申し上げたときのこと。
「うちの大学でも最近事務の人がいろいろ言うんですよ。」との言葉の後に続いたのがこの台詞。

「こういうのは文章で並べ立てるより表にしろとか、表の背景を色分けして綺麗に見やすくしろとか。」

それを聞いて思わずのけぞってしまいました。表にしろというのはともかくカラフルにしろというのはどうかと思ったのです。
だって、審査員に渡る書類はモノクロなんですよ。その大学の事務の方はそのことを伝えておられないのだろうか???

やたらめったら色を使うのは逆効果になりかねない。


思うに、科研費を担当する事務方は担当ですから科研費についてを熟知しており、説明会等できちんと説明しているのだと思います。
でも、先生方って研究以外にも様々な雑務に追われて必ずしもそういう機会に出席出来る物ではありません。
(関係ないですが、世間一般は大学教員というのは企業人より暇だと思っている傾向があります。人によるとはいえ結構な勘違いです。)

だから、きちんと説明していても伝わらないこともあるのだと思います。


図やフローチャート、表などを挿入する時、背景や文字などをカラフルにする方がおられます。
文科省や学振にも「研究計画調書にカラーにしてもよいかどうか」と問い合わせがよく行くようで、
文科省からの回答は「特に制限を設けてない」=カラーにしてもよいとのこと。

でもその回答には続きがありました。
「ただし、文部科学省が審査員に審査用の研究計画調書を配布する時はモノクロ印刷なので、
 カラーにしたことで逆に見にくくなるおそれがありますよ。」


それを承知でカラーで出すなら、どうぞ好きにしてってことです。

電子申請になる前は研究計画調書は審査員に配布される複本も含めて指定の部数を提出していました。
その為、研究計画調書に写真を貼り付けたりする先生などは、カラー印刷にこだわっていました。

現在は順当に電子申請への移行が進んでいますので、審査員に配布する研究計画調書は、文科省や学振の方で出力しています。
そして、そうなるとやっぱりモノクロ印刷なんじゃないのかなぁと個人的には思っていました。
カラーとモノクロでは印刷コストが全然違うからです。

そして、公募要領をよーく読んでみたら案の定、次のような但し書きがありました。

研究計画調書はモノクロ(グレースケール)印刷を行い審査委員に送付するため、
印刷した際、内容が不鮮明とならないよう、作成に当たっては留意してください。


審査員が電子申請システムにログインし、画面上で原稿を読んで審査をする・・・なんていうところまで進んでいれば話は別ですが、
たった1回の審査だけの為に審査員ごとにIDを振ったり、ある特定の課題のみに応募書類の閲覧許可権限をつけたり
といった作業はとても手間がかかりすぎるので、やるとは思えなかったんですよねぇ。
(印刷して配布するより、コストパフォーマンスもよく、セキュリティ上も問題ないなら話は別ですが。)

とはいえ、カラー原稿で応募することは、とくに制限されてはいません
大学によっては表を作成する時に、セルの背景を色分けしたほうがよいとかアドバイスをする場合もあるようですが、
審査員の手元に渡る原稿はグレースケール印刷になるため、色によっては色を付けた背景が塗りつぶされてしまい、
文字がつぶれて読みにくくなります。

私は個人的に、最初からモノクロの前提で、背景に網掛けを使ったり、写真も画像ソフトでモノクロ写真に加工して利用した方がよいと思います。
円グラフなら、背景を網掛け、斜線、白背景の黒文字、黒背景の白抜きなどで区別すればわかりそうですよね?

カラーにこだわるのであれば、ご自分でカラー原稿をグレースケール印刷で印刷してみて、
色わけの効果があるかどうかをチェック
してみてください。

このHPでは特に強調したい事柄は赤字にしたり、下線を入れたりして表現をしておりますが、ブラウザ上で読んでもらう前提だからです。
ブラウザで文字を表示した場合、使い手のパソコンの機種や設定によって見え方が変わります。
フォントも特に指定していませんので、強調したい箇所を強調する手段として色を変えて赤くしたりしています。
でも、赤い文字はモノクロで紙に印刷されると、黒よりも薄く印刷されてしまいますので、
結果的に強調される効果がなくなるどころか、色が薄い分、逆にマイナスの印象になりますよね。


私がこれまでに見た原稿だと、医学系の先生が研究目的などに人間の内臓の写真を貼付していたりしましたが、
こういうものはモノクロだと細部がよくわからず、複写したり、性能が悪いプリンタで印刷すると写真がつぶれてしまい、
写真を貼付する意味がなくなってしまいました。

「どうしてもリアルな写真がなければ言いたいことが伝わらない!」とおっしゃられるので、
電子申請になる前は、自分でオールカラーの複本まですべて作って、のり付けまでして持ってきてくれました。

現在は電子申請。そして、グレースケール印刷であることを考えるとカラー写真は逆効果にもなりえます。
もし写真を添付した原稿をご自分でグレースケール印刷してみて、細部がうまく印刷できない場合は、
せめてカラー写真をそのまま添付するのではなく、画像処理ソフトでモノクロに変換してから貼り付けてください

ご自分でそのようなソフトをお持ちでない場合は、ご自分の講座または研究室に所属している学生に聞いてみてください。
必ず、画像処理ソフトを使いこなす学生がいるはずです。

ともあれ、写真やイラストはあくまでも研究計画調書をより分かりやすくする補助的な役割なので、
あまり意味がないのであれば、無理やり載せなくても、文章だけで勝負するのもアリですよ。

文科省でプリントするプリンターの種類とか解像度とかで印刷物の見た目もまったく違ってくると思うので、
写真を貼り付ける場合は大きめのものにするとか、強調したい部分を拡大して貼り付けるとか、工夫が必要です。

そして、図表の背景を色分けするのはあまり意味がないと思います。
(淡い色が複数使われてたりするとどれも同じように印刷されるか、ほとんど真っ白になって区別がつかなくなったりしますよ。)

カラーで作成した研究計画調書も、審査員にはカラー原稿では渡らないということを充分理解の上で、
カラーにするかどうかをご自分で判断されるとよいと思います。

posted by もとじむ at 2017年09月25日 last update | 研究者が噂する審査都市伝説? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする