「研究代表者および研究分担者の研究業績 」の書き方

科研費の研究計画調書は純粋に頭から順番にどう書いていくかが重要だと思います。
ますは「タイトル」。これで審査員を「お?」と引きつけるようなものが書けるのがポイント。
そして「研究目的」。その研究の置かれている背景や現在の立ち位置を述べた後に、いかに応募研究が重要かを訴えます。
勿論、この導入部分はうまくタイトルに連動している必要がある。
その次は「研究計画・方法」です。実際に前に述べた研究目的を具体的にどう進めていくのかその実現性と計画性を見ます。
そして、その「研究目的」に添って立てた「研究計画・方法」を実現する能力があるのかどうかを見るのが、
研究の準備状況」であり、「研究業績」です。
キッチリとした研究成果を世の中に発信してきた証明でもあり、審査員に「この人なら成果を出すかも」と思わせる援護射撃になります。

研究計画調書 記入要領を確認する


研究計画調書の記入要領を確認すると、

(4)「研究代表者および研究分担者の研究業績」欄【若手研究は「研究代表者の研究業績」欄】
研究計画調書に記載している指示に従って記入してください。なお、論文を記載する際、電子ジャーナル等で頁数の表示がない場合には、「最初と最後の頁」の記入は不要です。また、産業財産権等の知的財産権を有する場合は、その旨記入してください。(特許出願番号等)


とありますので、研究計画調書(基盤研究(C)様式S-14)を見てください。

この5ページから6ページが研究業績を記載すべきページです。
この5ページの上部枠内が「研究計画調書に記載している指示」です。

平成30年度の様式S-14によると、指示は次の通りです。
3 研究代表者および研究分担者の研究業績
 本欄には、研究代表者、研究分担者がこれまでに発表した論文、著書、産業財産権、招待講演のうち重要なものを選定し、現在もしくは過去から発表年次の順に、通し番号を付して2頁以内で記入してください。なお、学術誌へ投稿中の論文を記入する場合は、掲載が決定しているものに限ります。
学術誌論文の場合、論文名、著者名、掲載誌名、査読の有無、巻、最初と最後の頁、発表年(西暦)を記入してください。
以上の項目が記入されていれば、各項目の順序の入れ替えや、著者名が多数の場合、主な著者名のみ記入しその他の著者を省略することは問題ありません。なお、省略する場合は、省略した員数と、研究代表者、研究分担者が記載されている順番を○番目と記入してください。
研究代表者には二重下線、研究分担者には一重下線を付してください。


とあります。なんとも難解な文章ですね。テキトウに書く人多いだろうな・・・。

平成27年度の公募より、過去五年以内の業績を書くという縛り撤廃!


平成26年度の公募まではこの欄には過去5年以内の業績を書くようにという制限がありました。
しかしながら応募する研究者の立場に立ってみると、今回応募する研究に関わる重要業績が必ずしも
過去5年以内に発表されているとも限りません。

一人で行う研究だとこの欄に記載するのは研究代表者の研究業績のみ。
中にはこの業績欄がほとんどなく、空白だらけで提出される方もおられました。

「先生、業績は大事ですよ!無理矢理にでもこの研究に関連する論文発表とかないんですか!」

と問いかけると、渋い顔をされる。

というのもこの方の場合、自分が本当にやりたかった研究は水面下で続けてこられたのですが、
過去5年以内に論文としてまとめたり、学会発表を行っていたのは別の研究だったのです。

ようやく本当にやりたかった研究に着手すべく、科研費の応募書類を書こうとしていたのですが、
この業績欄に書くべき関連業績がないというのですね。基本的に研究者はまじめなのです。

研究業績欄に書けない準備状況を書く欄があるとはいえ、ここが空白だらけだとやっぱり印象が悪い。

研究分担者、連携研究者の業績にしたって、過去の実績があるから協力していただくわけで、
5年以内の業績でなければ能力があると判断できないというのはちょっと乱暴なところがある。

制限を全くかけないと応募課題に全く関係ない過去の研究業績を並べ立てる応募者がいることを想定して、
過去5年という縛りを設けていたんでしょうね。

きっと応募者からの要望が殺到し、「主に2012年以降の業績を中心に記入」「それ以前の業績であっても本研究に深く関わるものや今までに発表した主要な論文等(10件以内)を記入しても構いません」という文言が追加されたのだと思います。

本研究に関係する論文を抜き出して記載するという縛りも撤廃


5年以内という記述と同様にあった縛りが、応募する研究課題に関係する業績のみを書けという注意書き。
これが、応募課題に関係しなくても、「重要な論文を選定」して記入せよ、ということに変更になりました。

これもですね。これまでにやってこなかった研究に着手しようとしていた先生にとっては
書ける論文がなかったわけです。
でも研究者としての実績や実力を示すにはちょっと毛色が違う論文でも書きたかったはず。
まあ、私が事務員の時は「空欄にするなら書きましょうよ」っていう感じでしたけども、
これらについても研究者側から物言いがついたのかもしれません。

過去にすごく評価された論文や著書、ありましたら、こちらに是非記載を!

【これまでとの変更点のまとめ】
●従前の様式では、過去5年の業績を中心に応募課題に関連するものについて記載を求めていたことを改め、応募課題に関連するものに限らず、また発表年に関わらず、応募者にとって重要と考える業績を記入できるように変更。
●従前の様式では、必要に応じて記入できるとしていた連携研究者の業績については記入しない。


研究組織の構成員の研究業績を集め、重要業績を選ぶ。


応募課題に関係する論文であるという縛りや過去5年という縛りがなくなった代わりに加わった縛りが、
研究代表者、研究分担者の執筆してきた研究業績という縛りです。

これまで連携研究者の業績も書けましたが、平成30年度応募分から研究代表者と研究分担者の業績のみを書くことになりました。
採択された後に研究費が配分され、研究の責任をあらゆる面から追う立場の人たちのみです。

書き方としては、まず、研究代表者、分担者の研究業績を集めます。
その中から、応募者が重要だと思う研究発表や投稿論文をピックアップします。
これを現在、もしくは過去から発表年次の順に並べます。

業績の執筆者が研究代表者の場合、二重下線を、研究分担者の場合、一重下線を引くことで代表者、分担者のいずれの業績が一目でわかるようにしたら完成です。
これまでのように、研究代表者、研究分担者別に分けて記載せよという注意書きもなくなり、シンプルになりました。

研究業績欄は2ページ以内ページを増やすことはできません
研究組織の人数が多く(研究分担者が沢山いたり)、応募課題に関連する研究業績が2ページで収まりきらない場合は、
その中からより重要だと思われる研究業績に絞って、必ず2ページ以内に収まる様に記載してください。

より重要というのは、今回応募する課題に関係が深かったり、業績としてのインパクトが強いと思われるモノをご自身で選びます。
査読なしより査読付きとか、審査員が「なかなかやるな」と思うであろう順に選ぶのです。

逆に少人数でやる研究課題の場合業績が少ないこともあると思いますが、書くことがなくてもページを削ってはいけません
空白のままでいきましょう。

ただし、やはり研究業績は研究者の日頃の研究活動を見るバロメーターみたいなもので、この欄が空白だと説得力がかなり落ちます。
全く関係ない業績を埋めるのは逆効果ですが、やはり何も業績がないと説得力が激減するので、
書けるものがないかを熟考して絞り出してください。

論文発表ではなく、水面下で研究調査などを行っていた場合は4ページの「準備状況」に書くとよいです。
これまで準備状況は、業績の後に書かねばならなかったため、どうしても印象が薄まってしまいましたが、
平成30年度の様式から業績の前に書くことが出来るようになったため、論文や著書としてまとまっていない
重要な実績をより印象づけやすくなったと思います。

充分な準備をしていることを猛アピールしてみてはいかがでしょうか?
要は、研究遂行能力と熱意があるかどうかを審査員に伝わることが重要です。謙遜はもったいない。


研究業績の細かい記載の仕方


 ◇現在もしくは過去から発表年次の順に、通し番号を付して2頁以内で記入。
 ◇学術誌論文の場合、論文名、著者名、掲載誌名、査読の有無、巻、最初と最後の頁、発表年(西暦)を記入。
 ◇研究代表者には二重下線、研究分担者には一重下線を付す。

過去五年という縛りがなくなり、年度ごとの区分線などもなくなりました。
新しいモノから古いモノでも古いモノから新しいモノでもどちらでもいいが、降順、昇順どちらかに統一して年度ごとに並べて記入すること。

順番は前後してもいいが、論文名、著者名、雑誌名・・・等の情報をもれなく記載すること。

研究代表者には二重下線、研究分担者には一重下線を付すこと。

細かい指示はこれだけになりました。

業績の書き方が指示通りでないからという理由で不採択になることはあるとは思えません。
(審査員が見るのはそこじゃないだろと思われます。)
業績欄は、これまでの実績のアピール。実力のアピール欄です。
あまり深いことは考えず、記入できるようによりシンプルにしたようですね。

是非、研究組織のメンバーの実力を示すために、厳選した業績を上げてアピール材料にしてください。


posted by もとじむ at 2017年10月06日 last update | 研究計画調書 各項目の解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする