研究組織(研究代表者、分担者、連携研究者、外国人)の考え方

科研費は我が国の基礎から応用までのあらゆる「学術研究」を発展させることを目的とした研究補助金です。
しかし、日本国民なら誰でも応募出来る物ではなく、文部科学省が定める研究機関に所属している「研究者」を対象としています。
その研究機関とは、一般に営利目的の研究活動をしている企業の研究所に所属する研究者は含まれていません。
そのような研究機関を支援する補助金は文部科学省ではなく経済産業省等が管轄しています。
一般に、大学等の教育研究機関や公益の研究所等に置いて研究活動を主たる業務として行っている研究者や
主たる業務は研究でなくとも所属研究機関内で研究活動をすることを認められているものが対象です。

応募する課題の研究代表者等は、応募に先立って府省共通研究開発管理システム(e-Rad)に登録をしないといけません。
この登録作業は所属研究機関の担当者が行います

応募課題を遂行するために研究組織を組む前に、組織構成のルールやe-radへの登録等の作業があるため、
研究組織の構成要因の呼び名や手続きは研究計画調書を作成する前に知っておく必要があります。

応募課題の研究組織を構成する条件や応募資格


科研費を応募する「研究代表者」は、研究計画の性格上、必要があれば「研究分担者」、「連携研究者」及び「研究協力者」とともに
研究組織を構成することができます。勿論、必要がなければ一人だけで応募することも可能です。

研究代表者、研究分担者及び連携研究者は、応募時点において、次の要件を満たす方です。

 ◇研究機関に、当該研究機関の研究活動を行うことを職務に含む者として、所属する者であること。
  (有給・無給、常勤・非常勤、フルタイム・パートタイムの別を問わない。研究活動そのものが主たる職務でなくてもよい。)
 ◇当該研究機関の研究活動に実際に従事していること(研究の補助のみに従事している場合は除く。)
 ◇大学院生等の学生でないこと(研究活動を本務とする研究者等が学生の身分を持つ場合は除く。)

 ◆科研費やそれ以外の競争的資金で、不正な使用、不正な受給又は不正行為を行ったとして、
  平成30年度に、「その交付の対象としないこと」とされていないこと。

これらを満たし、かつ応募前にe-Radに「科研費の応募資格有り」として研究者情報が登録されていなければなりません。

その他として、所属する研究機関の判断で、その研究活動を当該研究機関の活動として行わせることが適切ではないとした場合に、研究機関として、応募を認めない場合や、当該研究者による交付申請を認めず科研費の交付申請を辞退させる場合もあります。

研究協力者は、必ずしもe-Radに登録されている必要はありません
e-Radに登録されている研究者が研究協力者になっても構いませんし、研究者以外でも構わないという意味です。
研究の種類によっては研究者ではなく、外部の有識者の協力が不可欠な場合もあるでしょう。

また、日本学術振興会特別研究員(DC)及び外国人特別研究員、大学院生等のの学生は、研究代表者のほか、研究分担者及び連携研究者になることができませんが、
平成26年度より、日本学術振興会特別研究員(SPD・PD・RPD)は所属研究機関が認めれば、応募できるようになりました


ちなみに、非常勤講師については各大学によって扱われ方が異なるようです。

私の所属していた大学では非常勤講師の方を研究機関に所属する研究者とは認めていませんでした。
その理由は、非常勤講師の方は「教育」に従事して貰う為に各講義を担当して頂いているのであって、
研究を職務として、大学で働いて頂いているわけではないからです。

科研費の応募資格では有給・無給、非常勤・常勤、フルタイム・パートを問わないとはありますが、
あくまでも研究が職務の中に含まれていることが原則です。
講義のみを担当していた非常勤講師の方はその条件には合致しなかったのです。

大学によっては解釈が異なるかもしれませんので、非常勤講師をされている方で科研費の応募を
希望している場合は問い合わせてみてはいかがでしょうか?

研究組織の構成員とその役割:研究代表者(応募者)


研究代表者は、研究計画の遂行に関してすべての責任を持つ研究者のことをいいます。

 ◇応募時点で所属研究機関において研究を職務として遂行することがみとめられていること。
 ◇公募する研究期間中、研究代表者としての責務を果たせること。(定年退職の予定とかあったらだめ。)
 ◇e-Radに登録されていること。
 ◇応募だけでなく、採択後には研究の遂行だけでなく、経費の使い方や事務処理、さらに
  実績報告書や研究成果報告書を責任を持ってきちんと提出すること。
 ◇研究組織を構成する場合には、研究分担者との関係を明らかにするため、
  「研究分担者承諾書」を徴収し保管すること。

などが求められます。

特に文科省が毎年説明会でうるさいくらいに「成果報告書を提出してください」といいます。
実績報告書はA4で2ページ程度と簡単ですし、出さないと次年度の補助金に影響するので出すのですが、
最後の研究報告書を出すのをわすれてしまう研究者が多かったようです。

科研費は国民の血税です。使いっぱなしは絶対に許されませんので充分ご留意を。
しかも成果報告書を含め、公的資金を使った研究成果はしっかり公になりますので、
応募する時にそのような認識を持たないといけません。

ちなみに、2007年以前は成果報告書は冊子体のものを作成し、国立国会図書館に所蔵されましたが、
2008年以降は電子媒体での提出になりました。(一部、研究種目を除く。)
おまけに様式が決められており、たったのA4で4〜6ページの報告書を書くだけでよくなりました。
国会図書館(しかも関西館)に所蔵されるよりも、データベースに掲載した方が成果が広く活用されると判断したのですね。
研究者の負担も軽くなったようですね。

ちなみにいつまでも報告を出さないでしらばっくれたりすると、科研費の応募を認めてくれなくなります。
当たり前です。


なお、「研究分担者承諾書」は、研究分担者となる人が研究代表者と所属研究機関が同じか否かで様式が異なります。
(「研究分担者承諾書(他機関用)」「研究分担者承諾書(同一機関用)」があります。)

研究分担者となっている研究者の承諾なしに分担者に入れて応募するケースがあるため作られた書類でしょう。
文部科学省や日本学術振興会に提出する書類ではないですが、科研費の応募者が多い研究機関などでは、
応募の時点でこれらがそろっていないと応募自体を認めてくれなかったりもしますので、ご注意ください。

ちなみに私は「口頭でもいいから承諾を得て」とお願いし、正式な書類は後でも構わないことにしていました。
研究分担者の所属によっては「正式に採択してからでないと公印はつけません。」なんてところもあったのです。
大学の規模がそれほど大きくなかったこと、所属していた先生方がみなさんマジメできちんとした方ばかりでしたので、
後でもめることなどもありませんでしたが、所属研究者がとにかく多い総合大学などでは、こういうことを認めていたらきりがない。
事務作業員の数は限られていますから、フォローしきれないのです。

たかだか承諾書1枚の事務的な手続きに翻弄されてストレスが溜まりそうな場合は、
いっそのこと連携研究者や研究協力者にしてしまうのもアリです。
そのかわり、研究費を使用する事務処理などは研究代表者の所属機関が責任を持って行わないといけません。

研究代表者になるということは、研究組織の全ての方の研究遂行に関する責任を持つと言うことです。
いろいろ考えて、組織を構成してください。

研究組織の構成員とその役割:研究分担者


研究分担者は、研究代表者と協力しつつ、研究遂行責任を分担して研究活動を行う者のことをいい、
分担金の配分を受ける者でなければなりません。

以前は研究分担者でも分担金の配分を受ける者、受けない者がいましたが、現在は明確に分類され、
分担金の配分を受けない研究者は「連携研究者」になりました。
分担者は研究の責任も分担するため、配分された分担金を自分の責任で使用することができます。

なお、研究分担者として研究に参画する場合は研究分担者承諾書を研究代表者の所属機関に提出しなければなりません。
(研究分担者承諾書は、文部科学省及び日本学術振興会へ提出する様式ではありません。)

特に研究代表者が異なる研究機関に所属している場合は、事務処理を円滑に進める上でも速やかに提出した方が事務担当が嬉しいでしょう。

研究組織の構成員とその役割:連携研究者


連携研究者は、研究代表者及び研究分担者の監督の下、研究組織の一員として研究計画に参画する研究者のことをいいます。
連携研究者は、分担金を受け主体的に科研費を使用することはできませんが、科研費の応募資格があり、
事前にe-Radに登録されていなければなりません。

必要経費は研究代表者または分担者にその都度出して貰って、研究管理もお任せだけど、研究には参加するという立場です。

研究分担者のように承諾書を徴収する必要はありません。


研究組織の構成員とその役割:研究協力者


研究協力者は、研究代表者、研究分担者及び連携研究者以外の者で、研究課題の遂行に当たり、協力を行う者のことをいいます。
(例:ポストドクター、リサーチアシスタント(RA)、日本学術振興会特別研究員(DC及び受入研究
機関において応募要件を満たさないSPD・PD・RPD)、外国の研究機関に所属する研究者(海外
共同研究者)、科学研究費補助金取扱規程第2条に基づく指定を受けていない企業の研究者、その他技
術者や知財専門家等の研究支援を行う者 等)

外国の研究機関に所属する研究者に日本の税金から研究費を渡すことはできないのは明白です。

また、その他の研究協力者って一体誰?と思うかもしれませんが、例えば一般の有識者です。

以前、IT系の先生で新しい特許申請するシステムを構築するというという方がおられました。
「IT系の研究ですから一人でできるんです!」とか「パソコンしかいらないんです!」とかおっしゃいました。
でも、ただシステムを作って終わりでは研究ではありません。

「特許の申請システムだっていうのなら例えば弁理士の協力などが必要では?」
「科研費は単なる物を買うだけの資金ではないのです。研究の成果発表までを含めての補助金です。」

というようなことをお話ししたことがあります。
この場合、弁理士を研究協力者にした方が、研究成果がより正しい方向にでる気がしました。

環境問題や福祉問題に切り込んだ研究の場合も、実際にそれらの世界に携わっている方に協力して貰った方が良い場合があるはずです。
科研費の応募資格を持たない方の協力が必要な研究で、名前を出すことをご本人が了承している場合は、
研究協力者になって頂いてはいかがでしょうか?

あくまでも研究協力者なので、研究に深く入っていただく立場ではありませんが、
その方に協力していただいた方が明らかに研究成果が出そうで、かつ申請の時点で了承いただけるのであれば、
研究協力者として名前を入れさせてもらうとよいです。

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以上が現在の科研費の研究組織の主な分類です。

久しぶりに応募されるという方は研究分担者、連携研究者など定義が変わっているのでご留意ください。


posted by もとじむ at 2017年09月24日 last update | 研究計画調書作成のポイント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする