「研究計画最終年度前年度の応募を行う場合の記入事項」の書き方

科研費では、限られた財源で多くの優れた研究者を支援すること、応募件数の増加により適正な審査の運営に支障を来さないようにすることなどを考慮し、重複応募を制限するルールが設けられています。
このような制限がない場合、数うちゃ当たるとばかりに同じ研究課題を全ての研究種目で応募する人も出てきます。
事務的にも非常に非効率ですし、場合によっては同じ研究課題が複数の研究種目で採択されるなどということが発生してくるからです。

ただし、その重複応募の制限にも特例があります
それが、特別推進研究、基盤研究、若手研究にある「研究計画最終年度前年度の応募」です。

重複応募制限の特例(研究計画最終年度前年度の応募)


重複応募制限の特例に当たるのは特別推進研究、基盤研究、若手研究の中でも次の場合です。


「特別推進研究及び、基盤研究(基盤研究(B・C)応募区分「特設分野研究」を除く。)の研究課題のうち研究期間が4年以上のもの又は若手研究の研究課題のうち研究期間が3年以上のもので、平成30年度が研究期間の最終年度に当たる研究課題(継続研究課題)の研究代表者」が、当該研究の進展を踏まえ、研究計画を再構築することを希望する場合には、「研究計画最終年度前年度の応募」として応募することができます。
なお、平成29年度以前に採択された「若手研究(A・B)」についても同様の取扱となります。
また、1つの継続研究課題を基に、この特例により新たに応募できる課題数は、1課題に限ります。
(平成30年度の科研費の公募要項から抜粋。)



この文章の読み方は、応募の段階で、特別推進研究、基盤研究のうち4年以上(若手研究のみ3年以上)の研究期間を持つ研究課題が採択されていることがまず大前提。
4年以上前に科研費に応募して現在研究が進んでいる課題がなければ1ミリも考える必要はありません。
即刻、この欄は空欄で終わりです。

次に4年以上の研究期間をもつ研究課題が進行しているとして、秋の応募の段階で翌年度がその課題の
最終年度にあたるかどうか。
例えば、平成27年度から、28年度、29年度、30年度までの4年間の研究課題が採択されている場合は、
平成29年度の秋の科研費の応募の時に、「研究計画最終年度前年度の応募」を検討することができます。

そして、実際に「研究計画最終年度前年度の応募」をするかどうかは
一部の研究種目において、4年以上の研究期間の科研費の交付を受けた場合、研究の最終年度の前の年に
これまでに2年半〜3年半かけて行ってきた研究経過を元に研究計画を再構築した方が良いかどうかで判断します。

現在遂行している研究が研究計画を立てた時点(3年〜4年前)と変わらず順調であればそれでよし。
研究を通して新たに発見があり、長いアプローチが必要になった場合などは再構築を考えるのもありかもしれません。

前年度応募をした場合、当初の研究計画の最終年度が新しい研究計画の初年度とかぶります。
そして新たに前年度応募する課題は、基盤研究なら3〜5年という定められた研究期間に従うことになるため、
前年度応募した課題が採択された場合、数年前に応募した研究課題が2〜4年伸びるようなイメージです。

ただし、前年度応募の課題が採択されたとしても、前の応募の時までの研究成果報告書は予定通りまとめなければならず、
ちょっとややこしいです。(平成30年度が最終年度だった場合、平成31年の6月末まで。)
研究は継続しているので同じ研究の研究期間が伸びる様なイメージでですが、
事務的には1回の交付ごとに成果報告がなければ手続きがおかしくなるのかもしれません。

また、該当課題1つにつき、前年度応募ができるのも1つまでです。

と、「最終年度前年度の応募」というのはなんだかとてもややこしいです。

これまでに私が担当したものは、最終年度まで研究をキッチリ終わらせた上で新たに応募するのが大半でした。
「最終年度の前年度応募をしようと思って・・・」と言われたのは一人だけ。
それも国立大学を定年になって移ってこられた先生でした。とても科研費に慣れておられた。

該当する方は少ないと思いますが、この応募欄についてはよく質問をうけたので長々と説明してみました。
わかりにくい文章でしたらごめんなさい。

文部科学省が主催する説明会では、この最終年度の前年度応募についてを具体的な例をもとに説明してくれます。
9月上旬の説明会の後、文部科学省のHPにアップロードされるので説明会資料はダウンロードして目を通すか、
ご自分の所属機関の事務担当者によく確認してください。

研究計画調書 記入要領を確認する


研究計画調書の記入要領を確認すると、

(6)「研究計画最終年度前年度応募を行う場合の記述事項」欄
「研究計画最終年度前年度の応募」として新規に応募する場合(公募要領24頁参照)は、研
究計画調書に記載している指示に従って記入等をしてください。


とありますので、研究計画調書(基盤研究(C)様式S-14)を見てください。

この8ページが「研究計画最終年度前年度の応募を行う場合の記入事項」を記載欄です。
この欄の上部枠内が「研究計画調書に記載している指示」にあたります。

平成30年度の様式S-14によると、指示は次の通りです。

5 研究計画最終年度前年度応募を行う場合の記述事項(該当者は必ず記述してください(公募要領24頁参照))
本欄には、本研究の研究代表者が行っている、平成30年度が最終年度に当たる継続研究課題の当初研究計画、その研究によ
って得られた新たな知見等の研究成果を記述するとともに、当該研究の進展を踏まえ、本研究を前年度応募する理由(研究の
展開状況、経費の必要性等)を記述してください。
該当しない場合は記述欄を削除することなく、空欄のまま提出してください。


まず、該当者は必ず記入とあるように、該当しない人は空欄で何も書かなくて構いません。
多くの人はこの欄は空白です。
間違ってもこの欄を欄ごと消して、他の欄の枠を伸ばして記入枠を増やすなどということはしないでください

そういうことをする人が多いので、
※該当しない場合は記入欄を削除することなく、空欄のまま提出すること。
と平成26年度の様式から太字で注意書きが追加されてます。

研究業績やら研究方法やらをめい一杯書きたくて、いらないページを削ってしまう方がおられますが、
科研費の様式は原則として改変は認められません
充分にご留意ください。
空欄があることが心地悪いのか、ばっさりと切り取る人もいますが、該当しなければ空欄でよいのです。

また、最終年度の前年度応募に該当する研究課題をお持ちの方は、指示通りに再構築した理由等をここにまとめてください。
再構築した研究計画や目的は既に研究計画調書の1〜4ページにまとめているはずですので触れる必要はありません。
ここはあくまでも前回の応募の当初の計画と、今回研究を再構築した理由のみを書いてください。

posted by もとじむ at 2017年10月03日 last update | 研究計画調書 各項目の解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする