科研費の公募にまつわる資料や様式の種類の解説。

科研費の研究計画調書は、それぞれの応募者の研究内容を審査員にアピールするために必要不可欠なことが、
過不足なくびっちりと詰め込まれています。
研究の内容そのものを審査員に伝えるためだけでなく、審査を取り扱う事務側(日本学術振興会など)の取り扱いやすさ、
法令などに抵触していないかなどの判断材料などの項目がはいり、盛りだくさんです。
時代に合わせて研究計画調書が徐々に進化している(増ページしている)のはわかるのですが、
初めて科研費に応募する人の中には、関連書類がありすぎて混乱することもあるようです。
また、研究計画をたてたり、研究経費を見積もって算出することなどは当たり前の話で誰もが納得する記載項目ですが、
「その算出根拠を説明しなさい」なんて欄まであって、「なにをどう説明すればいいんだ!」とよく聞かれました。

某私立大学にいた私の経験で言いますと、一般的に国公立大学出身の先生は全く違和感を抱いておられませんでしたが、
民間企業等の出身の先生はお役所文書に慣れておらずパニックになる人もおられました。

今は独立法人化したため事情は違うかもしれませんが、国公立大学の場合、学校の全体予算そのものが税金なので、
普段から書類の取扱等がキッチリしていたのだと思います。
(ちなみに噂によると某国立大では応募書類の提出日を1日でも遅れるとシュレッダーにかけて捨てていたそうです。)

かくいう私も科研費の担当になりたてのころはわけがわからず、先生方から質問の電話を受けるのがイヤでした。
意味のわからない初めて聞く用語ばかり。助けてくれる先輩もいない状態で、四苦八苦したことを憶えています。

初めて応募する時は混乱するかもしれませんが、最初だけです。
携帯電話の機種変更をしたり、新しいソフトウェアを買った時と同じ。やってみれば慣れます。
その為に応募のために必要な各種資料、補足資料等の役割、さらに研究計画調書の各欄についてを私なりに補足説明します。

平成◎×年度科学研究費補助金公募要領


科研費に応募する時に必ず読まねばならない資料がこれです。公募要領です。
科研費の趣旨の説明から始まり、研究種目の考え方、重複申請の制限、応募する審査分野の「審査区分表」など、
科研費の応募に関わる基本的なことが記載されています。
科研費の応募を考えている全ての研究者を対象とする資料です。

科研費の応募の際は、まずはこの資料を読み、自分の研究がどの研究種目で応募するのが適切かを判断するところから始まります。

また、科研費は必ずしも一人1課題しか申請出来ないわけではありません。
全く異なる研究課題であり、重複応募の制限を受けない研究種目であれば、一人で複数の応募も可能です。
重複応募の制限に関しては、自分が研究代表者として応募するものだけでなく、研究分担者としての応募にも関わってきます。
これらをきちんと理解せずに応募すると、苦労して作成した応募書類が審査員の手に渡ることもなく、
審査対象外になってしまうなんてことも起こりかねないので注意が必要です。

平成◎×年度科学研究費補助金公募要領(別冊)


新しく追加された公募資料です。
かつて「研究計画調書の作成・記入要領」「研究計画調書」が冊子として販売されていたと前述しましたが、
その頃のように提出する一連の書式がどのような物なのかを、各研究種目ごとにわかりやすくまとめた物です。

応募書類の様式と記入要領がまとまっていて、電子申請で入力する部分、ダウンロードして作成する部分が完成した後、
研究計画調書がどのような形になるのかを各研究種目ごとに順を追って綴じてあります。

研究計画調書の作成前に形態をざっと把握するのに便利です。


研究計画調書作成・記入要領


公募要領を読んで応募する研究種目を決定すると、研究計画調書をダウンロードし、応募書類を作成していきます。
その際、研究計画調書の書き方についての具体的な指示が書かれているのがこの書類です。

例えば、次のような感じです。

(1)「研究目的、方法など」欄
  本欄には、今回応募する研究計画において何をしようとしているのか、その全体像を明らかにするため、
  研究計画調書に記載している指示に従って概要を含め記述してください。

 →これらの欄の書き方は、研究計画調書の様式内に具体的な指示が書かれています。

(2)「本研究の着想に至った経緯など」欄
本欄には、審査委員が今回応募する研究計画についてより理解を深めるため、当該研究の特色について、研究計画調書に記載している指示に従って記述してください。
なお、「(3)これまでの研究活動」を記述する際には、自らの重要な研究活動について、成果に繋がった例の他、成果に繋がらなかったものの新しい問題を発掘できた場合など、研究遂行能力を示す活動を含めて記述して構いません(この際、「研究業績」欄に記入の論文や学会発表などを引用しても構いません。)。
また、産前産後の休暇及び育児休業の取得や、介護休業の取得による中断など、研究を中断していた期間についても記述して構いません。

 →この欄は上記の「研究目的、方法など」と同じく、研究計画調書に記載している指示に従って書けという記述はありますが、研究計画調書の中に書き切れていない事柄が補足されています。
  研究計画調書の注意書きのみで書くこともできますが、記入要領の指示にも注意を向ける必要があります。


混乱を招かない為には全ての書き方を記入要領にまとめた方が良いのでは?という気がしないでもないのですが、
具体的な指示が、研究計画書の様式内と記入要領内に分かれて書かれているので注意が必要です。

平成29年度までは、研究経費欄など、記入要領のみにしか記載方法が書かれていませんでしたが、
その記入要領に書かれている指示が、年度ごとに線を足して小計を出せとか、結構、無茶な指示だったので、
ここを書き直ししてもらう先生が後を絶たなかった。
しかし、平成30年度からはこの経費欄が電子申請側に入ったので、計算間違いもなくなるはずです。

また、基本的に研究計画調書に書かれている注意書きだけでも完成させることはできます。
(書き足りない補足説明のみ、記入要領に移動している感じが見受けられます。)

ただ、記入要領はやっぱりきちんと読んだ方がよいので、ダウンロードせず、研究計画調書をいきなり作成することのないように気を付けてください。

研究計画調書


研究費を得たい研究課題について、その内容、研究規模、自身が置かれている研究背景、実績など、
具体的な研究計画をまとめる申請書類です。
以前は紙ベースで提出していましたが、現在は電子申請となり、自身でサーバにアクセスしてアップロードする形式になっています。
紙ベースの時は各所属研究機関がとりまとめて提出していましたが、現在は研究機関のとりまとめも電子的に行います。

表紙に当たる部分は研究者がサーバにログインして直接打ち込み、研究内容、研究方法などの内容部分は、
日本学術振興会のホームページや科研費の電子申請システムからダウンロードして、応募書類を完成させます。
最終的に応募内容ファイルを、電子申請システム上にアップロードする仕組みです。

ワープロソフトを使って申請書を作成するため、申請書類はいくらでも改変ができてしまいますが、
様式の改変が認められていないため、文字を打つことで記入欄が伸びてしまうこともあり、
その際には記入欄を縮めて、元の様式と同じ幅になおさねばなりません。

また、研究計画調書の書き方についての説明は、研究計画調書内に書かれていたり、記入要領に書かれていたり、
バラバラなので注意が必要です。
書くべき所を書くべき欄に書かない」先生の大半は記入要領を読まず、いきなり研究計画調書に書く人が多いです。

(各欄の書き方については、次のページ以降で一つ一つ詳しく説明します。)

科学研究費補助金公募説明会資料


文部科学省が毎年全国各地で次年度の科研費の公募に先立って事務担当者向けの公募説明会を行います。
昨年度との相違点や新しく追加された項目などを取り上げ、まる1日かけて丁寧に説明してくれます。
その際に、補足資料として配布されるのが公募説明会の資料です。
これは公募説明会終わった後、文部科学省のホームページからダウンロードできます。

パワーポイントで作成したと思われる資料のPDF版です。
昨年度までの相違点やポイントが図表等でわかりやすくまとめてありますので、
研究計画調書を作成する前に必ずダウンロードして読むことをオススメします。

私はこの説明会資料を元に具体的に学内用の資料を作ろうかと考えたこともありましたが、
時間がかかりすぎて無駄なのでこの説明会資料そのものを印刷して、学内説明会で配布し、補足説明していました。
もし所属研究機関からこの資料が配られなかった場合、文科省のHPからダウンロードして目を通すことをオススメします。

 ダウンロード元:「平成30年度科学研究費助成事業公募要領等説明会」等資料

書籍:文部科学省科学研究費補助金採択課題・公募審査要覧、科研費助成事業データベース


文部科学省や日本学術振興会のHPでは科研費の予算や採択件数、申請件数の分布などのデータが公表されていますが、
さらに全ての採択課題をタイトル、研究代表者名、採択金額などを含めて一覧にした分厚い本(上下巻)で、
その年度の採択課題の傾向などを知りたい時に見てみるとよいです。

しかし、現在はこれらの情報が「科研費助成事業データベース」で公開されており、検索することができます。

そのため、平成24年度版から書籍の発行を中止したようです。

過去の採択課題が年度末ごとに提出する実績報告書の内容も読めるため、ライバルの研究状況の視察?もできます。

文部科学省・日本学術振興会の公開情報


科研費は国民の税金を予算にする競争的資金のため、あらゆる情報が全ての人に公平に公開されています。
公募要領などの応募に関わる書類などは、所属研究機関の代表者(担当する事務部門)当てに送られてきますが、
同時にそれらの情報はほとんどホームページにも掲載されます。(便利になりましたね。)

以下は、科研費に関する公的な公開情報が得られるサイトです。




posted by もとじむ at 2017年09月28日 last update | 研究計画調書作成のポイント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする